テントウムシに興味のある方必見!!!
B5判 150頁(表紙カラー・本文カラー36頁) 定価 3,900円(税・送料別)
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テントウムシはチョウやトンボなどとともに人気のある昆虫類です.特に,ヨーロッパでは幸福をもたらす昆虫として大事にされ,親しまれています.世界には5000種ほどのテントウムシが知られており,日本では180種ほど記録されています.害虫のアブラムシやカイガラムシなどを食べてくれる天敵として,逆にジャガイモやナスなどの葉を食べる害虫として,農業の上でもテントウムシは私たちの生活と深い関係にあります.
理科の教材としてもよく取り上げられており,テントウムシに関する本もかなり出版されていますが,ほとんどが子供向きです.専門的な本は2〜3点しかありませんし,それも分類に関するもので,テントウムシの生態や調査方法を専門的に扱った本は日本では見当たりません.
そこで,テントウムシの生態や調査方法に関する本を企画してみたわけです.種類数はトンボの約200種,チョウの250種に比べて少ないのですが,いざ書き始めてみますとわからないことだらけで,チョウではほとんどの種の生活史はかなりわかっているのに,テントウムシでは生活史のわかっているのは,ナミテントウやナナホシテントウなどごくわずかな種です.それも断片的なもので,たとえばナナホシテントウが夏にどこでどうしているのか,明らかになったのはこの20年ほどのことです.ナナホシテントウは本州などでは夏はススキなどの株元で成虫で越夏しているのですが,その生態も一般の人たちにはまだ十分に普及していないようです.
まだまだ不明点の多いテントウムシですが,これまでの知見をまとめてみたのが本書です.本書は日本環境動物昆虫学会の「生物保護と環境アセスメント手法研究部会」による調べ方シリーズの1冊として企画されたものです.生態面での知見や資料不足などにより出版がかなり遅れてしまいましたが,ここに「チョウの調べ方」,「トンボの調べ方」に続くシリーズ第3弾として発行できる運びになりました.
このシリーズは環境アセスメントや自然環境保全などのために野外調査にたずさわる生物技術者,研究者等を対象にしていますが,本書ではカラーページを36ページ入れて,種の同定や生態調査の便をはかったつもりです.そして,内容的には専門的な部分もありますが,一般の読者や中・高校生にも理解できるものと思っています.
特に,カラーの絵解き検索はこれまでのシリーズにはなかったもので,福井大学名誉教授の佐々治先生の力作です.ただ,大変残念なことに,佐々治先生は2006年に他界されてしましました.本書の執筆,監修に大変ご尽力されておりましたが,本書の完成を目にすることができず,他界されましたことは本当に残念でなりません.ここに,謹んで先生のご冥福をお祈りする次第です.
著者による表現の不統一や不備な点も少なくないと思いますが,本書を活用され,さらにテントウムシの研究が発展することを期待したいと思います.
最後に,本書の出版にあたり,野外調査や情報提供等でご協力頂きました伊藤ふくお氏,齊藤琢巳氏,煩雑な編集事務にご尽力頂きました学会事務局の高木良吉氏に厚くお礼申し上げます(まえがきより).