本学会推薦の江田慧子さん育志賞受賞



江田会員が育志賞を受賞
江田慧子会員が日本学術振興会の「育志賞」の栄誉を手にされ、今年(2013年)3月4日に日本学士院(東京・上野)で授賞式がありましたので、ご報告します。
「育志賞」は、平成天皇が即位20年に当たり若手研究者を支援・奨励するために提供された御下賜金にもとづき、日本学術振興会が2010年に創設したものです。大学院博士課程の学生が対象で、第3回目となる今回は124名の応募があり、人社系4名、理工系5名、生物系7名、合計16名が受賞者に選ばれています。
江田会員(当時、信州大学総合工学研究科博士後期課程)は、「里山に生息する絶滅危惧シジミチョウ類の保全・保護に関する生態学的研究」の研究課題で本会(当時は今村祐嗣会長)から昨年6月に推薦され、今年1月に受賞が決定しました。
授賞式は、秋篠宮殿下・妃殿下もお迎えしたたいへん格式の高いもので、江田会員が現在在籍されている信州大学山岳科学総合研究所の鈴木啓助所長、指導教員の中村寛志教授(本会理事)、ご両親とともに、私も本会を代表して出席させていただきました。式典後の茶会(立食形式の昼食会)では、江田会員と両殿下が予定時間をオーバーして談笑されていたのが印象的でした。
江田会員のこの度の「育志賞」の受賞は、推薦した本会の名誉を高めていただきました。本会を代表して、心より御祝いと御礼を申し上げます。
日本環境動物昆虫学会
会長 石井 実
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<趣旨>
第3回日本学術振興会育志賞に,日本環境動物昆虫学会が推薦した江田慧子さん(信州大学山岳科学総合研究所特別研究員)が選ばれ,平成25年3月4日に秋篠宮同妃両殿下ご出席のもとに日本学士院にて授賞式が行われました.
育志賞とは,天皇陛下の御即位20年に当たり,社会的に厳しい経済環境の中で,勉学や研究に励んでいる若手研究者を支援・奨励するための事業の資として,日本学術振興会が平成21年11月に御下賜金を賜り,このような陛下のお気持ちを受けて,将来,我が国の学術研究の発展に寄与することが期待される優秀な大学院博士後期課程学生を顕彰することで,その勉学及び研究意欲を高め,若手研究者の養成を図ることを目的として,平成22年度に「日本学術振興会 育志賞」を創設した賞です.今回が第3回目となっています.
第3回となる同賞には大学長または学術団体(学会)の長から124名の大学院博士課程学生の推薦があり,大学長経験者等の有識者にて構成される選考委員会での厳正な審査で,受賞者16名が決定しました.
本学会では,江田さんは博士課程(信州大学大学院総合工学系研究科山岳地域環境学専攻)で「里山に生息する絶滅危惧シジミチョウ類の保全・保護に関する生態学的研究」を精力的におこない,さらにその研究成果をもとに実践的な保全・保護活動に取り組み,絶滅危惧種の地域個体群回復に成功したこと,また科学絵本を作成して社会への普及啓発活動や,子ども達への環境教育に大きな貢献をしていること,本学会の奨励賞を学生ではじめて受賞したことを推薦理由としてあげ,これが評価を受けての受賞となりました.
授賞式には江田さんを推薦した本学会の石井実会長,博士課程の指導教授(私),鈴木啓助信州大学山岳科学総合研究所長それに江田さんの両親が出席しました.厳かな受賞式後の記念茶会では秋篠宮同妃両殿下に研究内容をご披露して,妃殿下からご質問を賜るなど晴れの授賞式となりました.
受賞した江田さんは「博士課程1年生の時に育志賞の存在を知ってから,ずっと育志賞にエントリーできるようにがんばって,オオルリシジミの研究論文を環動昆に投稿してきました.博士課程3年生の時にいざ,推薦をもらうべく大学推薦に応募しました.しかし,大学推薦に落ちてしまい,もうダメから思いましたが,当時の今村会長が学会推薦をすぐに快諾していただき,高木さんが書類を送ってくれました.また授賞式にはお忙しいのにもかかわらず,石井先生にも来ていただき,緊張しましたが,とても楽しい会になりました.昨年12月の面接がとても厳しい内容だったのですが,受賞できてとても嬉しいです.これまで環動昆に参加してきて本当によかったです.環動昆の会員のみなさまに厚く御礼申し上げます.」と喜びを語っていました.
江田さんは,平成20年の環動昆大会で優秀講演発表賞,平成23年に環動昆奨励賞を受賞するなど本学会が育てた若手研究者といえます.この賞を機会にさらなる研究成果を揚げ,育志賞の趣旨である将来,我が国の学術研究の発展に寄与する研究者になってくれることを期待しています.
(信州大学農学部 中村寛志)
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